2005年12月30日
東シナ海も既にガス田の操業が開始され、まった無しの状況ですが、以下は南シナ海の話題です。

日本には直接的な関係はないのですが、全くの人事、という訳でもありません。ここにはスプラトリー諸島(南沙諸島)があり、中国とベトナム、台湾、フィリピンが領土問題や海底資源問題を争っていて、日中が争っている東シナ海と同様の状況だからです。

(東シナ海での)EEZ境界の決め方、沖ノ鳥島を岩だという主張、そして中国が他国へ侵略したことはない等といった、中国の主張がいかに矛盾で自己中心的なものかを明確にするためにも押さえておく必要があります。また当然、防衛問題とも関係してきます。この海域を中国に押さえられるというのは日本にとって好ましくありません。

下の図は Wikipedia のスプラトリー諸島の項目からもってきました。

Paracel_Spratly_Islands.png

この海域での中国・台湾・ベトナム・フィリピンの関係は、南沙諸島問題についての図が分りやすいかと思います。

これらを参考にしながら、以下いくつかニュースを。

ベトナム外交部、南沙諸島の台湾の飛行場は主権侵害と発表(台湾国際放送・12/30)

ベトナムは29日、台湾に対し領有権問題のある南沙諸島での飛行場建設計画を停止するよう声明を発表した。

台湾メディアは政府の関係計画の後、ベトナム外交部スポークスマン黎勇(*1)は声明を発表し、台湾が島に建設する飛行場は重大なベトナムの主権侵害だと指摘した。彼は、これは地域の和平や安定、協力の状勢にマイナスの影響を与えると言った。

台湾メディアは、国防部副部長・霍守業の話として、以下のように伝えた。「台湾は南沙諸島の太平島に飛行場の建設を計画している。この目的は緊急時の救援、人道的な救助の任務である。」

ベトナム、台湾そして中国が南沙諸島の領有を宣言していて、マレーシア、ブルネイ、フィリピンも南沙諸島の一部の領有を宣言している。また、報道によると南沙諸島には石油や天然ガスが埋蔵されているという。

昨年、ベトナムは南沙諸島に商業定期便の開設を計画したが、中国の反感を買い中止したことがある。


台湾とベトナム、日本はどちらとも協力関係を築いていかなくてはいけないのですがね・・・。

来年にも南シナ海でメタンハイドレートのボーリング調査を行う予定(11/13)

新華社広州11月13日電
中国の科学者は、すでに南シナ海北部においてメタンハイドレートの分布する範囲を選定しており、さらにこれらの基礎となるボーリング調査の範囲を選定した。来年にもボーリング調査は実施されると見込まれ、メタンハイドレート資源の調査は実質的に山を越えたと言える。これは、最近広州で開催された中国海域メタンハイドレート調査専門会議の席上で明らかにされたものだ。


メタンハイドレードってのは天然ガスの一形態で、扱いが難しいもののかなりの埋蔵量があるとされ、新しいエネルギー源として注目が集まっているものです。
凍った天然ガス「メタンハイドレート」:米で採掘調査開始(Hot Wired・3/25)

中越共同声明:海洋ガス資源の共同開発を検討(中国情報局・11/02)

  胡錦涛・国家主席のベトナム訪問の最終日となる11月2日、「中国・ベトナム共同声明」が発表された。天然ガス開発についての協力を明確にした実利重視の内容で、トンキン湾内外の海域の境界線問題については、「境界線確定のための交他を始めて、共同開発についても話し合う」といった文言が盛り込まれた。2日付で新華社が伝えた。

  声明は、「両国は、近年の貿易関係の発展に対して満足しており、2010年までに貿易総額が100億ドルに達することを目標とする」と数値目標まで示して、経済的な結びつきを強化する姿勢を示した。

  また、陸地をめぐる境界については、「遅くとも08年までに境界全線に指標を設置し、境界を管理する新たな文書への署名を目標とする」との文言も盛り込まれている。

  トンキン湾(中国名:北部湾)をめぐる境界線確定に関する問題については、共同で海上の治安維持にあたり、漁業の安全を保障すること、漁業資源の合同調査を積極的に進めること、天然ガスの共同探査を開始すること、などが謳われている。

  その上で、「両国はできるだけ早期に、トンキン湾内外の海域の境界線確定のための交他を始めて、共同開発についても話し合う」「共同開発を検討する際には、『国連海洋法条約』及び『南シナ海における関係国の行動宣言』の精神に基づく」ことが明記された。

  一方で、「等距離・中間線原則」と「大陸棚の自然延長原則」のどちらを採用するのかという点は言及がなく、対立を避けた格好だ。(編集担当:菅原大輔・如月隼人)


中国の東・南方面への拡大を止めるには、ベトナムや台湾、フィリピンといった国がしっかりし、また協力していかなければいけないのですが、ベトナムも中国資源外交に取り込まれつつある様です。元々中国とベトナムは仲が悪いのですが、こういうところは中国はしたたかであると実感します。日本は・・・ダメすぎ。

ちなみにこの海域、過去のエントリで書いた通り、現在フィリピンの空軍が無力(戦闘機ゼロ)になってしまったために、中国の影響力がますます強くなっていると思われます。スプラトリー諸島(南沙諸島)の中国による実行支配も、フィリピンからの米軍撤退がトリガーでした。
参考:米軍がフィリッピンから引き揚げた途端に、中国は南沙諸島の軍事基地化を加速した。
posted by メタモ at 08:11 | Comment(3) | TrackBack(1) | 東シナ海石油ガス田
この記事へのコメント
メタモルさんへ 南シナ海も大事ですね。ベトナム フィリピン インドネシアなど重要国の利害が交錯しています。各国の感情も複雑です。東シナ海に日本の注目が集まっているなかで、一見、静かに見えるこの海域に注目されているのは、さすがご炯眼(けいがん)です。 ミケ
Posted by 屋根の上のミケ at 2005年12月30日 10:17
ミケさん、こんにちは。
以前、ミケさんに指摘して頂いてましたので、どこかで取り上げたいと思っていた部分でした。
おそらく、この辺りの事情はミケさんのほうがお詳しいのではと思いますが、自分の知識の整理のためにも、ボチボチと書いてみようと思っています。
Posted by メタモ at 2005年12月30日 10:28
ベトナムは、最近急速に支那寄りになっていますね。

私のよく行くhttp://oshida.exblog.jpの押田女史によると、支那は小金の使い方がうまいのだそうです。援助は少額だが、その国のほしいタイミングで勿体付けてくれてやるのだと。

もちろん、その金は日本のODAから回っている金でもあるわけです。支那を増長させているのは、日本の有形無形の支援だということが、この1年でよくわかりました。
Posted by ろろ at 2005年12月31日 22:56

外交のファンタジスタ (2005-12-30 09:12)
北朝鮮と中国が、海上で油田を共同開発するために協定を締結したことが内外から注目されている。中国にとっては、いくら賄っても賄いきれない国内のエネルギー需要の足しにしたい。一方の北朝鮮は、新たな外貨獲得...